日本人は、命がけで食をまっとうするような奇異な人種なのです。
“ふぐ”と呼ばれる味のしない毒魚を高額で食すかと思えば、“マムシ”と呼ばれる毒蛇を、酒に漬け込んでリキュールを造ったりします。その臭いたるや凄まじいものがあります。
しかし、何といっても理解し難いのは、正月に一般的に食される“餅(モチ)”なのです。
これは特別なライスを練って造った食品で、日本の正月には欠かせない食品です。
この“餅”という食品は大変な粘着力を持っているため、不用意に飲み込めば喉に詰まってしまい、窒息死してしまうこともあるほど危険なのです。
実際に、日本では毎年何人もの国民が、“餅”を喉に詰まらせて死に至っています。
恐らくその数は“ふぐ”や“マムシ”とは比較にならない程多いのではないでしょうか。
にもかかわらず、この“餅”を、“元旦(1月1日)”の朝から命がけで食すのが、古来よりの日本の正月の伝統的な儀式なのです。
この儀式を通して、“大和魂(カミカゼアタックの精神)”や“武士道(ハラキリの精神)”が日本人にとって、真から身近な行為なのだと、心から驚嘆するわけであります。